BHT

成分

使用の目的:酸化防止剤

類似した成分:BHA

 BHTとは化粧品に幅広く使用されている成分で、化学式C15H24Oで表されるトルエン誘導体の一種です。ジブチルヒドロキシトルエンと呼ばれることもあり、常温では無色もしくは白色の結晶性の粉末で、水に溶けにくく、エタノールやアセトンに溶けやすい性質を持っています。工業的にはp-クレゾールにイソブチレンを反応させ、アルキル化することによって大量に合成可能です。

 特筆すべき性質としては優れた酸化防止剤としての性質が挙げられます。紫外線等の影響によって生じた活性酸素は化粧品に含まれる油脂や界面活性剤に作用し、ラジカル反応と呼ばれる連鎖反応を引き起こし、いわゆる「酸敗」を引き起こしてしまいます。BHTはこの連鎖反応の途中で生成する過酸化ラジカルに水素を受け渡す(自身が酸化される)ことによって安定化させ、望ましくない反応を停止させる働きを持っています。

 食品添加物などでもお馴染みで、化粧品成分としても長い歴史を持っているため基本的には安心して利用できる成分です。また、BHTは安定性にも優れており、多少の熱や光では分解されたり、その性質を失ったりすることはありません。しかし、人によってはアレルギーを起こすことがあるほか、動物実験で催奇形性や発がん性が認められるなど、安全性に関しての若干の疑問も提起されているため、欧米では自主規制を行っている企業も存在します。

 類似した成分としてはBHAが挙げられます。BHAはBHTと同様に石油由来の酸化防止剤として食品や化粧品などに用いられておりますが、同様に優れた酸化防止剤としての効果を発揮する一方で、発がん性などの懸念がBHTよりも若干高いと考えられています。そのため、化粧品にはBHTの方が好んで利用されています。

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