使用の目的:pH調整、収れん作用
類似した成分:クエン酸、乳酸ナトリウム
乳酸とは水性の化粧品に広く利用されている成分で、化学式C3H6O3で表されるヒドロキシ酸の一種です。常温では無色透明の特異臭のある液体で、水やエタノールに溶けやすく、油と馴染みにくい性質を持っています。生体でも急な運動等でエネルギーが必要となった場合、嫌気呼吸の生成物として得られる成分で、工業的には発酵によって、もしくはアセトアルデヒドとシアン化水素を反応させて乳酸ニトリルを合成し、加水分解することによって得られます。
特筆すべき性質としては優れたpH調整作用が挙げられます。肌表面のpHは一般的に4.5-6.0程度の弱酸性に保たれており、化粧品の肌への刺激性を考えた場合、この範囲に保つことが理想的です。乳酸の酸解離定数は3.86であり、水に溶かすとカルボキシル基の作用で弱酸性の状態で安定するため、肌にとって望ましいpHを維持することが可能です。また、乳酸には穏やかな収れん作用があるため、皮脂の過剰な分泌を防ぐ効果も期待できます。
生体内でも産み出されている成分で、古くから利用されてきたため安心して使用することが可能です。また、酸としての強さはクエン酸などの他の有機酸よりも比較的穏やかです。しかし、肌の状態や成分の組み合わせによっては刺激を感じることがあるため、その場合は使用を控えた方が良いでしょう。
類似した成分としてはクエン酸が挙げられます。クエン酸は乳酸と同様に生体内でも合成されるヒドロキシ酸の一種で、乳酸と同様にpH調整を目的として用いられますが、3価のカルボン酸であり、より柔軟なpH調整が可能で、肌を引き締める作用にも優れています。しかし、利用されるpHの範囲によっては刺激を強く感じることがあるため、化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分けがされています。
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