使用の目的:成分の安定化、徐放性の付与
類似した成分:デキストリン
シクロデキストリンとはスキンケア製品を中心に利用されている成分で、6-8分子のグルコースが環状に結合した構造を持っています。CD、環状オリゴ糖と呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の物質で、水に比較的溶けやすく、エタノールや油と馴染みにくい性質を持っています。工業的には馬鈴薯やトウモロコシ由来のデンプンにCD生成酵素を加え、分解することによって合成します。
特筆すべき性質としては疎水性分子の安定化作用が挙げられます。シクロデキストリンは筒状の立体構造を持っていますが、分子の外側に水に溶けやすい部分、内側に水に溶けにくい部分が集まっています。そのため、他の水に溶けにくい成分をシクロデキストリンと混ぜ合わせるとシクロデキストリンの内部に取り込まれ、安定な状態となります。また、この状態では水に溶けにくい成分は徐々に放出されるため、成分による化粧品の効果を持続させることができます。
天然由来の成分で肌への毒性や刺激性もなく、安心、安全に利用可能な成分で、医薬品や食品にも広く用いられています。また、この成分特有の徐放性は化粧品の効果を長持ちさせるだけではく、成分が一気に放出されることによる過剰な刺激を防ぐ効果もあります。
類似した成分としてはデキストリンが挙げられます。デキストリンはシクロデキストリンと同様にグルコース重合体の一種ですが、シクロデキストリンが環状構造であるのに対し、デキストリンは直鎖状の構造を持っており、物性が大きく異なります。デキストリンはその構造に由来する結合性の強さを利用する形で、増粘剤やパウダー製品の結合等を目的として主に用いられています。
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