コハク酸

成分

使用の目的:pH調整剤、毛穴の引き締め、抗菌作用

類似した成分:クエン酸、サリチル酸

 コハク酸とは化粧品に幅広く含まれている成分で、化学式C4H6O4で表されるカルボン酸の一種です。常温では白色の結晶で、水やエタノールに比較的溶けやすい一方、エーテルや油性成分にはほとんど溶けません。天然には貝類に旨味成分として多く含まれる他、人体でも炭水化物からエネルギーを産み出す過程であるクエン酸回路を形成する成分の1つとして、重要な役割を担っています。工業的にはマレイン酸もしくは無水マレイン酸に水素を添加することによって合成されます。

 特筆すべき性質としては優れたpH調整剤としての作用が挙げられます。コハク酸のpHは常温で2.7前後とやや強い酸性を示しますが、他の酸性成分と組み合わせることによって任意のpHを調整可能です。また、肌に塗ると収れん作用を発揮し、毛穴を引き締めて皮脂の分泌を抑えることができるほか、ニキビ菌に関する抗菌効果も海外で確認されているため、毛穴に関するトラブルに効果的と言われています。

 天然に幅広く存在し、食品添加物としてもお馴染みの成分のため安心、安全に利用可能です。また、ニキビ予防の抗菌効果に関しては一般的に用いられているサリチル酸よりも効果的と言われています。しかし、高濃度でコハク酸が含まれている場合、酸性が強いため肌の状態によっては刺激を感じることがあります。

 類似した成分としてはクエン酸が挙げられます。クエン酸はコハク酸と同様にカルボン酸の一種で、pH調整を目的として利用されますが、常温でのpHが2.3でコハク酸よりやや酸性が強く、また、角質層を軟化させる効果が強いことが特徴です。また、サリチル酸はコハク酸と同様にカルボン酸に分類され、コハク酸と同様の抗菌作用などの用途で用いられていますが、水に溶けにくいためpH調整剤としてはやや不適です。

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