使用の目的：防腐剤
類似した成分：フェノキシエタノール、デヒドロ酢酸
クロルフェネシンとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C9H11ClO3で表される芳香族化合物の一種です。常温では白色の固体で、水やグリセリン、フェノキシエタノール等に溶けやすい性質を持っています。医薬品成分としても知られており、工業的に合成されたものが利用されています。
特筆すべき性質としては優れた防腐剤としての性質が挙げられます。クロルフェネシンは弱酸性の環境下で優れた抗菌作用を発揮し、カビや酵母、細菌など幅広い菌種の増殖を抑制します。この作用は一般的な防腐剤として知られているフェノキシエタノールよりも強く、製品中の雑菌の繁殖を防ぐ目的で、他の成分と組み合わせて使用されています。
高い抗菌作用を持っている一方で肌への毒性や刺激性もごく僅かであるため、クロルフェネシンを添加することによって化粧品をより安全に利用することができます。また、pHを安定化させる作用もあるため、化粧品の品質を安定させることができます。しかし、アルカリ性の環境下ではその作用を失い、また、その抗菌作用自体もパラベン等と比較するとやや穏やかです。
類似した成分としてはフェノキシエタノールが挙げられます。フェノキシエタノールはクロルフェネシンと同様に芳香族化合物の一種で、防腐剤として用いられていますが、酸性環境下での抗菌作用がやや穏やかである一方、油性成分とより馴染みやすく、pHの影響を受けにくいことが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされていますが、より使い勝手の良いフェノキシエタノールの方が一般的に利用されています。