使用の目的:柑橘系精油の成分、白斑治療(医薬品)
類似した成分:ベルガプテン
ソラレンとは柑橘系の精油や抽出物を使用したスキンケア製品に含まれている、化学式C11H6O3で表される成分です。ラクトンの一種であるクマリンにフラン環が結合した構造を持っており、常温では白色の結晶で、水に溶けにくく、メタノール等に溶けやすい性質を持っています。天然にはグレープフルーツの皮の部分やセロリ、パセリなどに天然の虫除け成分として含まれており、特に圧搾法によって作られた精油に多く含まれています。
特筆すべき性質としてはその光毒性が挙げられます。ソラレンは通常の状態では肌に刺激を与えませんが、紫外線に晒されると構造が不安定になり、フリーラジカルと呼ばれる反応性の高い電子を産み出す性質があります。そして、このフリーラジカルは肌の上で活性酸素と同様の原理で酸化の連鎖反応を引き起こし、肌の炎症やメラニン色素の合成促進によるシミの発生、沈着の原因となります。また、この一連の反応は通常の日焼けによる炎症をより悪化させてしまいます。
光毒性は化粧品にとって厄介な問題で、かつてはその仕組みが知られていなかったため、柑橘系の化粧品や精油による炎症がしばしば引き起こされていました。しかし、今日ではミカンや柚子など、大半の柑橘類に含まれている量では炎症を引き起こさないこと、抽出操作の方法によってはソラレンの大半を取り除けることが判っています。また、医療ではソラレンの「日焼けを悪化させる」性質を利用し、白斑の治療に利用しています。
類似した成分としてはベルガプテンが挙げられます。ベルガプテンはベルガモットに多く含まれている成分で、ソラレンよりも光毒性が強いことが特徴です。ベルガプテンもソラレンと同様にかつては炎症やシミの原因として問題となりましたが、ソラレンと同様に抽出方法の工夫として取り除くことが可能で、また、医薬品としても利用されています。
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