コウジ酸

使用の目的：シミ、ソバカスの予防（美白成分）

類似した成分：ハイドロキノン、ビタミンC誘導体

　コウジ酸とは一部のスキンケア化粧品に含まれる成分で、化学式C6H6O4で表されるγ-ピロン化合物の一種です。常温では白色の結晶もしくは粉末状の物質で、水やエタノールに比較的溶けやすく、油と馴染みにくい性質を持っています。天然に存在する成分で、日本酒や味噌などの製造工程に用いる麹の発酵の副産物として得ることができます。

　特筆すべき性質としては優れたシミ、ソバカスの予防効果が挙げられます。肌が紫外線に晒されると防御反応としてメラニン色素が合成され、皮膚に沈着するとシミやソバカスの原因となりますが、コウジ酸はメラニン色素の合成を促進する酵素チロシナーゼの銅イオンと結合することによって反応を阻害します。多くの美白成分はメラニン色素に至るまでの中間生成物を分解することによって効果を発揮しますが、コウジ酸は出発原料自体の反応を阻害するため、高い効果を期待することができます。

　天然由来であり、同様の作用を持った他の成分と比較すると肌への刺激性や副作用の恐れも少ないため、安心して利用可能な成分です。また、一時発がん性が問題となったことがありましたが、今日では安全とされ、利用が再開されています。しかし、美白効果についてはハイドロキノンと比較すると穏やかで、思うような効果を実感できない可能性があります。

　類似した成分としてはハイドロキノンが挙げられます。ハイドロキノンはコウジ酸と同様に美白成分として利用され、酵素チロシナーゼを阻害することによってメラニン色素の合成を抑えますが、効果が非常に強く、コウジ酸の約100倍とも言われています。但し、日焼け止めの併用が必須、肌の赤みが生じるなど肌に対する負担が大きいため、一般的な化粧品にはコウジ酸やビタミンC等、他の美白成分が好んで利用されています。