使用の目的:香料(柑橘系の匂い)
類似した成分:シトラール
リモネンとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C10H16で表されるモノテルペンの一種です。常温では無色透明の液体で、水に馴染みにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。リモネンは2種類の構造を持った異性体が知られており、オレンジや柚子の皮や精油に多く含まれるd-リモネン、ハッカに多く含まれるl-リモネンが存在します。比較的手軽に精製できるため、化粧品には天然由来のものが主に使用されていますが、工業的にα-ピネン等から合成することも可能です。
特筆すべき性質としては柑橘系のフレーバーが挙げられます(d-リモネン)。油と馴染みやすいため化粧品全般との相性が良いこと、柑橘系の匂いが爽やかで世代や性別、季節を問わず好まれやすいこと、精油の分類でいわゆるトップノートに属し、使用後に匂いをあまり残らないことから、様々な製品の使用感を向上させるために利用されています。また、リモネンには肌からの水分の蒸発を防ぐ機能があるため、保湿目的でも利用されています。
肌への刺激性、毒性も少なく、安全に使用できる成分です。また、その匂いや残存性の特徴から、他の香料と比較していわゆる「香害」の心配も少ないため、安心して使用できます。しかし、リモネンが酸化することによって、肌に若干の刺激性がある成分が生まれるため、刺激を感じた場合は使用を控えた方が良いでしょう。また、リモネン自体は大丈夫なのですが、他の柑橘系由来の成分が紫外線によって変化し、色素沈着等の原因となる「光毒性」を持っていることがあるため、成分表示や注意書きをよく読み、紫外線や直射日光に関する記述がないか確認しておいた方が安全です。
類似した成分としてはシトラールが挙げられます。シトラールは同じ柑橘系でもレモンに多く含まれる成分で、リモネンと比較してより清涼感の強い香りを生み出しますが、香りがやや鼻につくこと、また、アレルギーの感作物質として知られていることから、リモネンの方が好んで用いられます。
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