使用目的:保湿成分、抗菌作用
類似した成分:アラニン、グルタミン
グリシンとはスキンケア、ヘアケア化粧品を中心に用いられている成分で、化学式C2H5NO2で表されるアミノ酸の一種です。アミノ酸の中では分子量が小さく、光学異性体(鏡写しの構造を持った分子)が存在しない事でも知られており、常温では白色の固体です。水やエタノールに溶けやすく、体内でも合成されますが、工業的にはホルムアルデヒド、シアン化水素、アンモニア等を原料に化学合成する方法が主流です。
グリシンは他のアミノ酸と同様に水分を保持する構造を持っており、また、空気中の水分を吸収するため、肌に塗ると保湿作用を発揮します。また、単純な構造の中に酸性を示すカルボキシル基とアルカリ性を示すアミノ基を1つずつ持っているため、pHを安定させる目的でも使用されます。グリシンに特筆的な作用としては抗菌作用が挙げられ、バクテリアが増殖する際に必要なd-アラニンと呼ばれる物質の代わりに細胞に取り込まれることにより、正常な増殖を妨げることが可能です。
化粧品やサプリメント、薬品、食品添加物等様々な目的で使用されており、肌への刺激性も認められないことから安心して利用可能な成分です。また、比較的生産性に優れていること、水にも油にも溶けやすいこと、安定した成分であることから製品に取り入れやすい成分です。しかし、保湿成分として考えた場合、肌に浸透しにくい性質を持つため、効果については他の成分で補うことが必要となります。
類似した成分としてはアラニンやグルタミンといった中性アミノ酸が挙げられます。保湿効果等についてはグリシンと同様の作用を示しますが、大きな違いとして光学異性体を持つことが挙げられ、成分の合成方法(光学異性体を持つ場合、どちらか一方が多く作られやすい生物発酵が主に用いられます)、期待される効果等が構造によって少し異なります。
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