使用目的:使用感の向上、低刺激のセッケン成分
類似した成分:ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸
ステアリン酸とは石鹸やシャンプー、メークアップ化粧品等に使用されている成分で、化学式C18H36O2で表される高級脂肪酸の一種です。常温では白色の結晶の物質で、IUPAC名ではオクタデカン酸と呼ばれることもあります。ヒトを含めた生体内に広く含まれている成分で、化粧品原料としてはパーム油や大豆油を処理し、分留することによって得たものが使用されます。
ステアリン酸をそのまま原料として利用する場合、油性成分と馴染みやすい性質を活かし、クリームや乳液の伸びや硬さを調整する目的で用いられます。特にオレイン酸と併用した場合、より柔らかい感触になるため、製品の使い心地を大きく向上させることが可能です。また、ステアリン酸は水酸化ナトリウムで処理したナトリウムセッケンの状態で利用されることも多いのですが、ナトリウムセッケンは石油由来のセッケンと比較して洗浄力が穏やかで、肌に対する負担が少ないといった特徴があるので、敏感肌向けの製品に多く利用されます。
天然由来でセッケンとして使用した場合も肌への刺激がごく穏やかなため、とても安全に使用できる成分ですが、セッケンとして使用した場合、水やぬるま湯での泡立ちが石油由来の成分だけではなく、他の高級脂肪酸系の成分と比較しても劣ってしまいます。また、現状ではステアリン酸の主な原料がパーム油であるため、サステナビリティの観点からの問題が提起され、他の原料の利用が模索されています。
同様の効果を持った成分としてはラウリン酸やミスチリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸が挙げられます。これらはそのまま、もしくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムで処理してセッケンとして用いられますが、分子構造に応じて使用感やセッケンとして利用した際の泡立ち、洗浄力が異なるため、製品の目的に応じて複数の成分を組み合わせることによって使用されます。
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