使用の目的:洗浄、石鹸の原料
類似した成分:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
草木灰とはかつて石鹸やシャンプーとして利用されていた成分で、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどを主成分としています。常温では白色もしくはグレーの粉末状の成分で、水に溶けやすく、エタノールに溶けにくい性質を持っています。また、水に溶かした上澄みは一般的に灰汁と呼ばれています。人類の歴史の中で最も長く利用されてきた成分の1つで、化粧品、日用品としてだけではなく、農業などでも重要な役割を担ってきました。
特筆すべき性質としては比較的強いアルカリ性を活かした洗浄作用が挙げられます。灰汁を肌につけると主成分の水酸化カリウムや炭酸カリウムが皮脂の脂肪酸と反応し、界面活性剤としての作用を発揮します。また、それと同時に皮脂や汚れのタンパク質を強力に分解するため、汚れを効率的に取り除くことができます。灰汁はそのままつけるだけではなく、利用して石鹸を作ることも可能で、オリーブ油や牛脂など、地域特産の油を使って生産した記録が残っています。
天然由来で家庭でも容易に製造可能であるため、紀元前から人類によって広く用いられてきました。また、持続可能性の観点からも優れており、人口が適正であれば毎年繰り返し利用することが可能でした。しかし、石鹸と異なりほとんど泡立たない、肌自体にダメージを与えてしまうなど使いにくい部分も多く、次第に他の成分に置き換えられてきました。
類似した成分としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられます。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは草木灰よりもアルカリ性がより強い成分で、肌につけると皮脂や汚れを強力に取り除きます。しかし、草木灰と同様に肌自体にもダメージを与えてしまうため、単独で利用されることはなく、もっぱら石鹸製造の原料として用いられています。
コメント