サリチル酸エチルヘキシル

成分

使用の目的:紫外線吸収剤、化粧品の退色防止

類似した成分:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

 サリチル酸エチルヘキシルとは一部の日焼け止め製品やファンデーションに利用されている成分で、化学式C15H22O3で表されるサリチル酸エステルの一種です。サリチル酸オクチル、オクチサレートと呼ばれることもあり、常温では無色透明の液体で、水に全く溶けず、エタノールや油性成分と馴染みやすい性質を持っています。工業的にはサリチル酸と2-エチルヘキサノールを縮合させることによって合成されます。

 特筆すべき性質としては優れた紫外線吸収力が挙げられます。構造にベンゼン環をはじめとした共役二重結合を持った成分は紫外線を吸収する作用がありますが、サリチル酸エチルヘキシルは紫外線の中でも肌の炎症やDNAの損傷といった深刻な問題を引き起こすUV-Bをよく吸収します。また、他の紫外線吸収剤と比較してエタノールに溶けやすく、また、エステルの一種であり、肌と馴染みやすいことも特長として挙げられます。

 他の紫外線吸収剤と比較して安定性により優れており、紫外線による活性酸素の発生等も起こらないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、他の紫外線吸収剤よりも溶解性に優れているため様々な組み合わせで利用可能です。しかし、UV-Bの吸収能は他の成分と比較してやや弱く、UV-Aはほとんど吸収しません。また、サリチル酸エステルの一種であることから、濃度によっては薬として作用してしまうため、化粧品への配合量が制限されています。

 類似した成分としてはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが挙げられます。メトキシケイヒ酸エチルヘキシルはサリチル酸エチルヘキシルと同様に、UV-Bの吸収能に優れた成分として日焼け止め製品に利用されており、やや溶解性には劣るものの、より多くのUV-Bを吸収します。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で併用、もしくは使い分けがされています。

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