フィチン酸

使用の目的:金属イオン封鎖作用、美白

類似した成分:エデト酸、マンデル酸、グルコノラクトン

 フィチン酸とは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C16H18O24P6で表されるリン酸エステルの一種です。イノシトール6リン酸と呼ばれることもあり、常温では黄色の粘性状の液体で、水やエタノールに溶けやすく、アセトンに若干溶ける一方、油とは馴染みにくい性質を持っています。天然に幅広く存在する成分で、化粧品には米ぬかから抽出したものが多く用いられています。

 特筆すべき性質としては優れた金属イオン封鎖剤としての効果が挙げられます。水道水、あるいは化粧品に使用される水には金属イオンが含まれていますが、肌にとって欠かせない栄養素である一方で、石鹸の泡立ちを悪くしたり、他の化粧品成分を変色、沈殿させたりする原因にもなります。フィチン酸は多くの種類の金属イオンと強く結合して錯体を形成するため、化粧品の品質を劣化させるような望ましくない作用を防ぎます。また、フィチン酸には細胞内に存在するマクロファージと呼ばれるリンパ球の作用を活性化し、メラニン色素の分解を促す作用も確認されているため、シミやソバカスの発生を防ぐ効果も期待できます。

 天然由来で食品添加物としてもお馴染みの成分で、肌への毒性もないため、安心、安全に利用可能です。また、弱いピーリング作用もあることが確認されており、他のより強い成分と併用されることもあります。しかし、金属イオン封鎖やシミ・ソバカスの防止に効果的な他の成分と比較した場合、やや刺激が強く、肌の状態によってはトラブルを引き起こす原因となる場合があります。

 類似した成分としてはエデト酸が挙げられます。エデト酸はEDTAの通称で知られる金属イオン封鎖剤の一種で、フィチン酸と同様に化粧品の金属イオンによる品質劣化を防ぐ目的で利用されますが、美白作用等は持ち合わせておらず、金属イオン封鎖に特化している成分です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされていますが、汎用性が高いエデト酸の方がより多く用いられています。

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