重曹

成分

使用目的:化粧品のpHを調整する、肌表面の軟化

類似した物質:クエン酸

 重曹とは幅広いジャンルの化粧品に含まれている物質で、組成式はNaHCO3で表されます。成分表示では一般的に炭酸水素ナトリウムと表記されますが、特定の効果を期待する場合、パッケージ等で「重曹化粧品」として紹介されることが多いです。

特筆すべき性質としてはそのpHの調整作用が挙げられます。化粧品に含まれている物質の中には酸性、アルカリ性の強いものがありますが、そのまま使用すると肌への刺激や他の成分の析出、衛生面での問題等が発生する場合があります。重曹はそれ自身が弱アルカリ性であり、また、環境中のpH濃度に応じて自身の水素イオンを放出するため、化粧品のpHを一定の範囲に保つ働きがあります。また、重曹は皮膚の皮脂を除去し、清潔な状態に保つ目的でも使用することができ、その目的で使用した場合他の洗浄成分と比較して皮脂を選択的に除去するため、肌への負担を抑えることができます。

 食品等にも使用されている成分で安全性が高く(ベーキングパウダーや柑橘類の酸味調整等が代表的な使用例です)、温泉の有効成分として広く知られたものの1つでもあります。また、クエン酸等の有機酸と反応し、分解する際に炭酸ガスを発生し、炭酸ガスに血行を促進する作用があることから入浴剤等の成分としても広く用いられています。スキンケアの分野では手作り化粧水への添加や成分やそのものを洗顔に使用する方法が紹介されていますが、全体的に効果がマイルドなため、市販品では控えめな形で記載されていることが多いです。

 類似した目的で使用される成分としてはクエン酸があります。クエン酸は重曹とは逆の化学的性質を持っており、化粧品のpHを(肌にとってより望ましい)弱酸性に保つ働きがあるため、幅広いジャンルの化粧品に添加されています。また、皮脂に関しては弱酸性であることに起因する収れん作用により、毛穴を引き締めて過剰な分泌を防ぐ働きがあります。

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