使用の目的:抗酸化作用
類似した成分:クロロゲン酸、ローズマリー葉エキス
コーヒー酸とは一部のスキンケア化粧品に含まれているアイテムで、化学式C9H8O4で表される芳香族化合物の一種です。カフェー酸、カフェイン酸と呼ばれることもあり、常温では薄黄色もしくは茶色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、エタノールやアセトンに比較的溶けやすい性質を持っています。天然に広く存在する成分で、名前の由来となったコーヒーの他に、ワインやひまわりの種など多くの植物に含まれています。
特筆すべき性質としては優れた抗酸化作用が挙げられます。コーヒー酸は構造中の複数のヒドロキシル基が共役するカテコール骨格を持っており、紫外線などによって発生した活性酸素を安定化させます。そのため、肌につけると活性酸素による肌へのダメージ、及びそれによって引き起こされるシミやくすみの発生を抑える効果を期待できます。また、コーヒー酸にはUV-A及びUV-Bの吸収作用があることも知られており、日焼け止めの補助としても利用可能です。
天然由来で肌への刺激性や毒性もなく、基本的には安全に利用可能な成分です。また、コーヒー酸は多くの植物に含まれている成分で、安定して入手可能です。しかし、一部の実験で発がん性の可能性が示唆されていること、また、ポリフェノール類には他に優れた抗酸化作用を発揮する成分があることから、化粧品での単独成分としての利用はやや控えめです。
類似した成分としてはクロロゲン酸が挙げられます。クロロゲン酸はコーヒー酸と同様にコーヒーに多く含まれている成分で、優れた抗酸化作用を発揮しますが、その他にも肌の水分量やバリア機能の改善が期待できます。コーヒー酸は化粧品成分として単独で利用されることもありますが、クロロゲン酸は単独で利用されることはごく稀で、他の有効成分も一緒になった「コーヒー抽出物」として利用される機会が多いです