使用の目的:安定剤、皮膜形成、増粘剤
類似した成分:ミツロウ
キャンデリラロウとはメイクアップ製品やヘアケア製品に広く利用されている成分で、炭化水素の一種で炭素原子が31個含まれているヘントリアコンタンを主成分とし、他に炭素数20-32前後の脂肪酸及びアルコール、及びそのエステル、樹脂等から構成されています。キャンデリラワックスと呼ばれることもあり、常温では濃黄色~黄褐色のロウ状の固体で、水に全く溶けない一方、高温のエタノールやベンゼン等とは比較的馴染みやすい性質を持っています。製法としてはトウダイグサ科の植物キャンデリラの茎に付着しているワックス状の物質を採取、精製することによって得られます。
特筆すべき性質としては基剤成分としての硬度や安定性が挙げられます。油性成分をベースとしたメイクアップ化粧品は高温での変性に悩まされますが、キャンデリラロウは炭素鎖の非常に長い炭化水素や脂肪酸、エステルを主成分としているため融点が高く、また、適度に硬く形状を保持するため、メイクアップ化粧品やヘアスタイリング剤の基剤として非常に適しています。
天然由来で食品添加物としてもお馴染みの成分であること、また、肌への刺激性も低いことから安心、安全に利用可能な成分です。また、キャンデリラロウの皮膜は他の成分と比較しても光沢性が強いため、製品の見栄えを良くし、ツヤ感を出す効果も大いに期待できます。しかし、スタイリング剤として使用した場合やや落ちにくく、また原料の供給に関して持続可能性の面から問題が提起されています。
類似した成分としてはミツロウが挙げられます。ミツロウはキャンデリラロウと同様に天然由来のワックスで、化粧品の基剤として利用されますが、キャンデリラロウと比較して甘い香りを持ち、また、粘着性が高く比較的柔らかいため、スタイリング剤や安定剤としてだけではなく、香料として、あるいは使い心地を向上させる目的でも用いられます。
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