使用の目的:防腐剤、pH調整剤
類似した成分:パラベン、リン酸ナトリウム
安息香酸とは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C7H6O2で表される芳香族カルボン酸の一種です。英語ではBenzoic Acidと表記され、常温では白色の結晶で、水に溶けにくく、エタノールやエーテルに良く溶けます。自然界にも幅広く存在しますが、工業的にはトルエンやエチルベンゼンを酸化することによって大量に合成可能です。
特筆すべき性質としては防腐剤としての作用が挙げられます。安息香酸は様々な種類の細菌、真菌の増殖を抑える作用が確認されており、化粧品に配合することによって雑菌の繁殖による製品の劣化を防ぐことができます。また、水には溶けにくいものの、溶かした場合のpHは4付近を示す為、他の成分との組み合わせで、製品のpHを酸性に保つ目的で利用されることもあります。
天然にも広く存在し、高濃度では若干の刺激性があるものの安心、安全に利用できる成分です。また、安息香酸のエステルには特有の匂いがありますが、この成分に関してはほぼ無香のため、幅広い製品に利用可能です。しかし、皮膚にトラブルを抱えている場合はやや刺激が強く感じられることがあり、また、防腐剤としての効果は製品のpHがアルカリ性に傾くと急速に失われてしまいます。
類似した成分としてはパラベン及びリン酸ナトリウムが挙げられます。パラベンは安息香酸と同様に防腐剤としての効果を示しますが、アルカリ性でも効果が失われず、また、最近、真菌の繁殖を抑える効果も高い為、より一般的に用いられています。また、リン酸ナトリウムは安息香酸と似たようなpHを示す為、pH調整剤として利用されますが、水に溶けやすく、また、成分の組み合わせで緩衝剤としても利用可能なため、より好んで用いられています。
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