リン酸一水素ナトリウム

成分

使用の目的:pH調整剤

類似した成分:クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸

 リン酸一水素ナトリウムとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式Na2HPO4で表されるナトリウム塩の一種です。常温では白色の結晶で、水に比較的溶けやすく他の溶媒には溶けにくい性質を持っています。リン酸水素二ナトリウムと呼ばれることもあり、工業的にはリン酸水素カルシウムと硫酸水素ナトリウムを反応させ、水酸化ナトリウムで部分的に中和することによって得られます。

 特筆すべき性質としては優れたpH調整剤、緩衝剤としての作用が挙げられます。リン酸一水素ナトリウム水溶液のpHは常温で9.0前後と弱アルカリ性を示しますが、リン酸やリン酸二水素ナトリウムと組み合わせて使用することによって任意のpHを調整可能であり、弱酸性の化粧品を作るために用いられます。また、緩衝作用に優れているため、調整された溶液のpHは非常に安定しており、他の成分の添加や空気中の二酸化炭素などによる影響を受けにくいのが特徴です。

 食品添加物や医薬品としてもお馴染みの成分で、常識的な範囲で利用する分には安心、安全に使用可能な成分です。pH調整、緩衝剤としての作用の他に、吸湿性に優れているため保湿効果等も期待することができます。しかし、他の成分と比較した場合、リン一水素ナトリウム自体の肌への効果が控えめであるため、他の成分が利用されることがあります。

 類似した成分としてはリン酸二水素ナトリウムが挙げられます。リン酸二水素ナトリウムは同様にリン酸のナトリウム塩ですが、ナトリウムイオンの1つが水素イオンに置き換わっているため、常温でpH4.5前後のやや強い酸性を示します。しばしば両者は併用され、緩衝液として利用されています。

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