酢酸リナリル

成分

使用目的:リラックス効果、ラベンダーの香り成分、抗炎症作用

類似した成分:リナロール

 酢酸リナリルとはベルガモットやネロリ、ラベンダー等に含まれている香料の一種で、化学式C12H20O2で表されるモノテルペンアルコールの酢酸エステルの一種です。常温では無色の液体で、水にはほとんど溶けませんが、エタノールやアセトンにはよく溶けます。工業的にはラベンダーから抽出する他、リナロールと無水酢酸を反応させることによっても合成されています。

  特筆すべき作用としては気持ちを鎮め、睡眠の質を改善する効果が挙げられます。酢酸リナリルの甘く心地よい香りは副交感神経系に作用して身体をリラックスさせるだけではなく、とりわけ睡眠に関係する成分であるセロトニンの分泌を誘発する働きを持っています。また、酢酸リナリルは抗炎症作用も持ち合わせており、肌荒れや小さな傷等に塗って使用することにより、肌の回復を早めることが可能です。酢酸リナリルはラベンダーの香り成分として有名ですが、単体を香料で使用した場合、ラベンダーよりもむしろベルガモットの香りとして感じる方が多いです。

 酢酸リナリルは食品香料としてもメジャーな存在で、肌に対する刺激性もないため、「精油を直接肌に塗る」といった一般的にはリスクの高い方法であっても安全に利用することができます。しかし、天然の精油由来の製品では原料中に含まれている量が一定せず、安定的な効果が期待できないといった欠点があります。また、合成香料として使用した場合、酢酸リナリルの量は安定していますが微量な成分の組成が異なるため、天然のラベンダーやベルガモットの匂いを十分に再現できないことがあります。

 類似した成分としてはリナロールが挙げられます。リナロールは酢酸リナリルの前駆体で、同様に気持ちをリラックスさせる効果を持っていますが、酢酸リナリルがセロトニンの分泌を促すことで知られているのに対し、リナロールは抗不安作用の高さで知られています。酢酸リナリルとリナロールはラベンダーやベルガモットの香りを表現する要素として、様々な製品で併用されています。

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